アラスカ 星のような物語〜写真家・星野道夫 はるかなる大地との対話

2006年に放送された番組が、今日のBSプレミアムで再放送。
父が録画し、ちょうど夕食時に居間で見ていたので
一緒になんとなく見ていたらひきこまれた。


星野道夫さんの残した撮影日誌や本から選んだ言葉と共に
アラスカの四季の光景が映し出される。
正に引用されている星野さんの文章のとおりだ・・・という
情景が広がっていて、これほどぴったり言葉に寄り添う映像を収めた
番組を制作した方々の苦労や情熱にも思いが巡る。
今確認したら、この番組のロケは10か月におよんだそうだ。


またうろ覚えのざっくりした引用だけど
アラスカにも、都会にも、同じ時間が流れている
という言葉が印象に残った。
言われてみると確かにそのとおりだけど
普段の日常において、そういうことを意識することは少ない。
都会にいる日々の中でも、時にそういうことを意識してみるといいよ
という感じの言葉もあった。


星野さんはその写真だけでなく、紡がれる言葉もとにかく印象深い。
自然を見つめることで、さらに遠く向こうの何かを掬い取っている。
どこか哲学のようでもある言葉たち。
あの広大な自然の中に身を置き続けることにより
見えてくるものなのだろうか。


番組の構成は、基本的にはアラスカの映像なのだけど
それに加え、都会で慌しい会社員生活を送る青年が
ふと星野さんの色んな言葉を思い出す、という作りになっていて
いつもの日々から少し外れて、東京タワーに上って遠くを見たり
海岸に行ってみたり、という場面が時折挟み込まれる。
別にこういう場面を挟まず、アラスカの風景だけの方が
その世界に没入できるとは思うけど、あえて挟み込んだ理由はやはり
「同じ時間」を、普段の生活でも時に意識してほしいからだろう。


ここからは、この番組の話からはかなり脱線するけど・・・
ちょっと前に弟が移動になり、やや広島に近くなったので
最近はちょくちょく帰ってくる。先週も帰省していた。
いつもひとしきり漫画の話や野球の話などをし、だんだん
弟の仕事の話・私の仕事探しの話などに何となく移っていく。
その話の流れから、1か月ぐらい入れ替わってみたいねと言い、ふと
もし実際に私になったとしたら、弟ならどうするのだろうと尋ねてみた。


そうすると、私では思いつきもしなかった案が次々と。
まず地元は離れて都市圏に出る、求人の量・種類がそれだけでとにかく違うと。
地元を離れるという発想からして、私には全くなかったので驚いた。
もちろん、都会に出たからといってすんなり仕事が見つかるはずもないけど
そうやって「思い切って飛び出し、とにかく必死になって何とかしてみせた人」を
弟は何人も知っているとのこと。だからこそそういう提案も出てくるのだ。
そしてさらに提案された仕事探しの話は、もちろん色々あるけど省略。
これまでも、私の仕事探しの漠然とした話ならたびたびしてたのだけど
私という人間になったとしたら、という仮定をふと加えてみただけで
あんなに具体的な提案がぽんぽん飛び出してくるものだなぁ。
びっくりしたし、私には全くなかった発想を色々聞けて興味深かった。


この間そんな会話をしたので、最近はそのことについてたびたび考えていて
星野さんの「同じ時間」という言葉も、そういう思考になんとなく重なった。


それが大都会でも大自然でも、とにかく様々な世界を見たり
様々な人に会ったり、そういうことってやはり大きなことだ。
同じ時間の中に存在しているんだなと。
私の世界は広くはなくて、何かあるとすぐに汲々としてしまうけど
そういうことを、日々の心の片隅に留めておきたい。