映画「惑星ソラリス」感想

今日は出かけるつもりでいたのですが
テセウスの船」なるワードにうっかり出会ったばかりに
手のひらサイズの通信機器で、思考実験について読みふけっていたら
いつの間にか寝落ち、そして機器がメールを着信する音で目を覚ます。
出かけるにはもう遅いけど、休日としての時間は充分あるし何をしようか。
そこで、今なら「惑星ソラリス」に再挑戦できるかも!と思い立ちました。


昔、レンタルビデオ(DVDでなくビデオの頃。つまりそこそこ昔)にて
借りたことがあったけど、途中であっさり寝落ちしてしまいそれっきりに。
時を経た今は、いつの間にか家族が買ってたDVDが家にあるし
なにしろ昼寝した直後だから、寝落ちの心配もほとんどない。
そして、思考実験にもどことなく通じるものを感じる作品テーマ。
というわけで再挑戦しました!いやー、前置き長いですね。
感想文なのですが、日記でもあるので大目に見てください・・・。


難解と言われる作品だし、実際過去に寝落ちもしているので
気合いを入れて臨みましたが、今回は睡魔に襲われはしませんでした。
コンディションって実に大事ですね!
とはいえ基本的に静かな映画で、しかも長く、そしてゆっくり進みます。
昔観たときはたぶん、ステーション到着前に既に寝落ちしてたよ・・・。


SF好きな方には有名な作品だと思いますが、ざっくりとあらすじを。
知性を持つ海と霧に覆われた惑星ソラリス。そこに関わった研究者たちは
奇妙な体験に襲われたらしいのだが、その様子は記録映像にも残らず
詳しいことはわからない。研究を続けるべきか打ち切るべきか。
ソラリス研究用宇宙ステーションに、新たに赴くことになった
主人公の科学者の前に、10年前に自殺してしまった妻が現れる・・・。


「亡き人との再会」という部分だけなら、わりとよく見かけますし
なんだかこう切ない物語が展開されそうな気配ですが
この作品は怖いです・・・。
宇宙ステーションもなんだか荒廃しているし
前からそこにいる研究者たちの様子も、どうも尋常ではないし
しかもそのうちのひとりは自殺してしまったという。


あなた方、もうさあ、地球に帰ろうよ・・・!
ソラリスが、どれだけ興味をひかれる対象なのかはわからないが
精神の均衡を崩してまでやらなければならない研究なのか?
そう思うのは、私が科学者ではないからなのでしょうか。
もしくはもう腹を決めて、その「お客」たちとの生活に
存分に浸るというのも、それはそれでありだと思いますが。
でもそんな思いきった開き直りも、そうそうできるものでない。
そもそもソラリスは別に、会いたい存在を引き出してくれるという
わけじゃないのですよね。たまたま主人公が妻に会えただけで。
妻も、きれいな人だし浮世離れした雰囲気もあり、大事にしたくなる
心情はわかるのですが、理想化された都合のい存在では決してなく
ちょっと側を離れるたびに大変なことになり
主人公は心をかき乱されるのです。


宇宙ステーションに現れる「お客」は、ソラリスの海が
主人公たちの記憶を読み取り、生み出したものらしい。
となると、「お客」は単なる幻だといえるのか。
自分と、そしてある人がいたとして。
「自分」というものがある以上、人は、「自分」を通した以外の
「その人」を決して知り得ない。
他者から「その人」の話を聞くこともあるだろうけど
それを聞いているのも結局のところは「自分」でしかないのだし。
ならば「自分」の記憶から生み出された「その人」は
少なくともその「自分」にとっては、本物の「その人」ではないか?
他者にとってはまた別の「その人」が存在するのだろうけど
「自分」にとっては紛れもなく「その人」そのものではないのか?


なんかこう、伝わりづらい文章ですみません・・・。
これはたぶん、作品のテーマとは逸れた思考なのだろうけど
このようなことを思いながら見ていました。
ただでさえわかりづらい作品だし、ピントのずれた感想が
発生しても、まあそれはそれでありですよね!


それにしても、あのラストはどう捉えるべきなのか・・・。
そういえば、海が一段進化したようなことも言われてましたし
また新たな領域に突入してしまったのか・・・!?
鑑賞後、ラストについてついネットを少し巡ってみたら
やっぱり解釈は分かれるようですね・・・。
かなり驚きの解釈もあり、私はいろいろ見落としてるなぁ
よく見なきゃなぁ、と思いました。


原作は、スタニスワフ・レムSF小説ソラリスの陽のもとに」
タルコフスキー監督が映画化したのがこの「惑星ソラリス」ですが
どうも原作と映画では、根底にあるテーマはかなり異なるようです。
昔、原作にも挑戦してるのですが、こちらも序盤で脱落してるのです。
SFは心ひかれるジャンルなのですが、向いてないのでしょうか・・・。


「コングレス未来学会議」という、これまた独特の映画を
2年前に映画館で観ていまして。
(感想いろいろ書きたかったのですが、上げそびれました・・・)
その作品も、同じくスタニスワフ・レムが原作。
こちらもこちらで、原作と映画はだいぶ違うらしいですね。
原作の方も気にはなっているのですが。


惑星ソラリス」難しかったかといえば、実際難しかったですが
つまらなかったかといえばそんなことはなく、面白かったです。
(近年リメイクされた映画もあるけど、だいぶ趣が違うらしい)
難解と呼ばれる他の有名作品も、実際に観たら面白く感じられるかも
知れないし、思いきってチャレンジしてみようかなぁ・・・と
そんなことも思いました。